まずは「ROE」と「ROA」について教えてあげるよ。
「ROE」と「ROA」は投資判断においてとても参考になる指標ですので、この記事で紹介していきます。
ROE(あーるおーいー)とROA(あーるおーえー)とは
会社を運営していくには資本金が必要です。
会社が資本金を調達する方法は、株式を発行する方法(自己資本)と銀行から借金する方法(負債)の2つがあります。
ROE(Return on Equity、日本語では「株主資本利益率」)とは
「株主資本(会社の自己資本)をいかに効率的に利用して収益を上げているか?」をみる指標です。
By ゆうさん
私は株式投資を行う際に以下のROEが高い優良企業を選んでいます。
- アップル(AAPL):ROE=35%
- コカコーラ(KO):ROE=17%
- ジョンソン&ジョンソン:(JNJ):ROE=22%
- P&G(PG):ROE=28%
- グーグル(GOOG):ROE=13%
ROA(Return on Asset、日本語では「総資産利益率」)とは
「総資産(自己資本+負債)をいかに効率的に利用して収益を上げているか?」をみる指標です。
By ゆうさん
以上のように意味だけ書いてもわかりにくいので、具体的な例で説明していきます。
ROAの具体例
企業経営とは、企業を設立するのに使用したお金(=資本金)をヒトやモノに「投資」を行い、社会へモノやサービスを提供することで、投資した以上のお金を稼ぐことです。
現代では本当に様々な業種の企業がありますが、個々の企業を評価するのに役立つのがROEとROEの指標です。
では、ROAで考えてみましょう。
[Question]
以下の条件でA社とB社どちらが優秀な企業でしょうか?
- A社:総資産が10億円で1000万円の純利益を稼いだ
- B社:総資産が1億円で1000万円の純利益を稼いだ
この答えについては、当然B社の方が優秀になります。
つまり、同じ1000万円の純利益を稼いだ企業でも、その利益を出すのに必要とした資金によって企業の評価は異なります。
今回のケースでいうと、
- A社のROAは1%
- B社のROAは10%
となります。
(ROAの計算法は、「ROA=純利益÷総資産」です)
言い換えると、A社という組織のビジネスモデルの利回りは、たったの「1%」ということになります。
企業運営という、決して少なくないリスクを取った上で利回りが1%では割に合わないと判断できます。
(アメリカの債券でも買っていた方が1%以上の利回りがありますからね。)
そのため、今回のケースでは「A社には投資しない」と判断することで、その分を他の有力な投資先へ投資して、投資リスクを低くすることができるのです。
話を簡単にすると、
- ROAは企業の「ビジネスモデルの利回り」
と言うことができます。
ROEの意味と使い方
それに対して、
- ROEは企業の株式に「投資したときの利回り」
と言うことができます。
(ROEの計算法は、「ROE=純利益÷純資産(総資産-負債)」です)
言い換えると
- ROE=ROA×「企業がかけているレバレッジ」
と言うことができます。
株主は企業に投資すると、(投資した金額の範囲内で)企業の負債にも責任を持つことになります。
通常、企業活動には多額の資金が必要ですので、企業は株主からの出資分とは別に、負債の形で資金を調達し、リスクを高めてリターンを追及しています。
そこで、ROEとは株主資本を分母にして純利益分を割ったものなので、株主からみたリターンを表すことになります。
なぜ、株主からみたリターンがROEかというと、総資産のうちの負債の部分については、株主は1円たりともお金を出していないからです。
つまり、投資におけるリターンとしてはどのくらい負債があるかは株主には関係ないということです。
結局はバランスが大切
もちろん、総資産のうち負債部分が大きくなれば企業が倒産してしまうリスクが高まるので株主にも影響することになります。
一方、ROAは、企業の総資産をベースに利回りを計算していることから、ROAの値には総資産の内どれぐらいが株主資本でどれぐらいが負債なのかを判断できません。
そのため、「ROAとROEどちらが大事なのか?」という質問に答えはなく、結局は両者のバランスが大事です。
もちろん、両者とも高い数字の方がいいのですが、「ROAが低く、ROEが高い」という状態は、借金が多すぎる可能性があるので注意が必要です。
ただ、それも業種や経営戦略によって異なり、例えば、一時的に負債を増やして広告に力を入れたソフトバンクのような経営戦略もあります。
そのため、投資家としてはROE・ORAの指標を参考にしつつ、その企業が将来にわたって利益を出し続けるビジネスモデルかどうかを判断することが重要になります。
まとめ
ROAやROEは、国や業種によらず一律で企業価値を判断できる指標になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
私は、基本的にはROEが高い企業へ投資するように心がけています。
コメント